面接の構造自体は、どんな企業でも大きくは変わりません。
志望動機、過去の経験、将来のビジョン——どの質問も、あなたという人を理解するための入口です。
ただしスタートアップの場合、そこにスピード感や変化への柔軟性、スキルの発揮の仕方といった要素が加わるのが特徴です。
「まだ形のない環境で、どう価値を生み出せるか」を見極める面接。だからこそ、少しだけ答え方の角度を変える必要があります。
(1)なぜこの会社を選んだか/なぜスタートアップを志望するか
この質問の狙いは、会社のミッションや方向性をどれだけ理解し、自分の経験と結びつけられるかを確かめることにあります。
「挑戦したい」「成長したい」という言葉だけでは、どんな会社にも当てはまってしまいます。大切なのは、その挑戦をなぜこの会社でやりたいのかを言語化することです。
効果的な構成は、
① 企業のビジョンや事業モデルへの理解を簡潔に伝え、
② 自分のスキル・経験をどう活かせるかを具体的に語り、
③ スタートアップならではの変化にどう柔軟に対応していくかを添える。
たとえば、「これまでのプロダクト開発経験を通して、課題を自ら定義して動く面白さを感じました。貴社の『〇〇を変える』というビジョンに共感し、自分のスキルを次の成長フェーズで試したい」といった形です。
スタートアップでは共感だけでなく、「スキルをどう使うか」「どう成長に結びつけるか」という実践的な視点が重要です。
(2)過去の経験で最も困難だったこと/失敗・挫折経験
この質問は、逆境での行動力・学びの姿勢・再現性を見ています。
成功体験を語るよりも、「どう課題に向き合い、何を得たか」を中心に話すと印象が強くなります。
STAR法(Situation→Task→Action→Result)を使うと、話の流れが整理されます。
たとえば「納期遅延が発生した際に、どのようにチームを立て直し、次に活かしたのか」。その一連のプロセスを簡潔に説明し、最後に「その経験を今後どう活かせるか」で締めくくるのが理想です。
スタートアップでは、トラブルや想定外の変化が日常的に起こります。
そのため「失敗の捉え方」や「次への変換力」は、スキルと同じくらい重視されます。
(3)5年後・将来どうなっていたいか/キャリアビジョン
どの企業でも定番の質問ですが、スタートアップでは自分の成長と会社の成長が重なっているかがポイントになります。
大きな夢を語る必要はありません。むしろ、「現実的な一歩」と「その延長にある理想」をつなげて話すと誠実な印象になります。
たとえば、「まずは1〜2年で○○領域のスキルを磨き、3年後には新規プロジェクトの立ち上げに携わりたい」など。
変化の多い環境だからこそ、“成長の方向性を自分で描ける人”が好まれます。
(4)逆質問の活用法
面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか?」は、あなたの理解や関心の深さを測る場でもあります。
ただ、具体的な質問をしなければと思うあまり、肩に力が入った質問責めになってしまうと印象が少し悪くなってしまう可能性も。
おすすめは、関心の方向性を示す質問。
たとえば「今後、事業を伸ばす上で特に注力している領域はありますか?」や「チーム内でのコミュニケーションの特徴を教えてください」など、やわらかく会話が広がる問いが望ましいです。
逆質問は情報を引き出すだけでなく、「この会社の一員として、どう考えたいか」を示す機会。
深掘りよりも、前向きな対話の姿勢を意識しましょう。
(5)回答の“型”と準備の仕方
スタートアップ面接ではテンポの良いコミュニケーションが好まれます。
まず結論を述べ、次に理由や背景を補足する——いわゆる結論ファーストが基本です。
「私は〇〇を強みとしています。その理由は〜」という順番で話すだけで、印象はぐっと明快になります。
また、志望動機・自己PR・キャリアビジョンの内容には、一貫性があることが大切です。
バラバラな印象にならないよう、あらかじめ自分の“軸”を整理しておきましょう。
準備としては、自己分析→企業研究→模擬面接の順に進めるのが効果的です。声に出して練習することで、言葉のリズムや伝わり方が自然になります。
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まとめ
スタートアップの面接だからといって、特別な答え方があるわけではありません。
基本はどの面接も同じで、「自分がどんな人で、どんな価値を発揮できるか」を丁寧に伝えることが大切です。
ただし、スタートアップではその中でも変化にどう対応するか、スキルをどう活かすかという“実践の視点”がより重視されます。
新しい環境を前にしたときに、どう考え、どう動くのか。そこにその人らしさが表れます。
逆質問も、答え合わせの時間ではなく、会話を通して“関わる姿勢”を示すチャンスです。
肩の力を抜いて、「この会社でどう貢献できるか」を一緒に考えるつもりで臨むと、自然と良い対話になります。
スキルも経験も、“正解”を語るものではなく、“どう使うか”を共有するもの。
面接は評価の場であると同時に、次のステージを探るための対話の場です。
その意識を持つだけで、言葉の温度も、伝わり方も、きっと変わるはずです。
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