スタートアップ企業の年収実態と大手との比較
スタートアップ企業における年収は、平均で比較的高い水準にあります。日本経済新聞社が実施した2023年の「NEXTユニコーン調査」によると、調査対象の有望スタートアップの平均年収は710万円と、上場企業の平均である650万円を上回る水準でした。
スタートアップの中核人材(マネージャー〜CxOクラス)は年収800〜1500万円程度が目安と言われており、役員クラスやプロダクトオーナーでは2000万円を超えるケースも珍しくありません。
ワンキャリアの調査では、スタートアップへ転職した人のうち、平均54%が、転職前と比べて年収が増加したという結果も出ています。
業界・職種で変わるスタートアップの年収
スタートアップの年収水準に大きく影響するのが、業界と職種です。
一般的に高年収が期待できるのは、利益水準が高い以下の業界と言われています。
- SaaS・AI・Fintech・DX支援などのIT・テクノロジー領域
- 医療・バイオ系
これらは資金調達額が大きく、CTOやエンジニア、プロダクトマネージャー、ビジネス・デヴェロップメントなどのポジションは年収800〜1200万円にストックオプションが付くケースが一般的です。
一方で、年収が低めになりやすい業界としては、以下が挙げられます。
- 地域密着型の地域活性化スタートアップ
- 教育・福祉などのソーシャルビジネス
これらは業界の特性上、利益率や資本力が限定される場合が多く、大手より報酬水準は低めになる傾向があります。
なぜスタートアップ企業の年収は高くなるのか?
スタートアップが高年収を提示できる背景には、「少数精鋭で成果を出すために、優秀な人材に対して相場以上の報酬を払う」 という特性があります。
新卒者が少なく、即戦力となる中途採用がメインとなるため、必然的に平均年収が上がることも構造的要因として挙げられます。
また、ストックオプションと言って、会社が個人に対して特定の金額で株式を購入する権利を付与している会社も多いです。現金給与だけでなく企業価値向上によるリターンが、年収に組み込まれています。
入社後の年収事情と昇給ペース
スタートアップでの年収は、入社時点の提示額だけでなく成果に応じた昇給のスピードが大手より速いのが特徴です。
大手の場合は昇進までに数年単位のプロセスが必要ですが、スタートアップでは成果次第で半年〜1年で給与テーブルが見直されるケースが増えています。
また、ストックオプションが付与されている場合、IPOやM&Aで一括換金される際に、数百万〜数千万円単位の利益が生まれることもあります。
スタートアップに転職時に年収面で気をつけるポイント
スタートアップでの年収を正しく比較するには、「総報酬ベース」で考えることが重要です。「ベース年収+ストックオプション+賞与」の内訳を確認しましょう。
ストックオプションが付与されている場合、実際に上場やM&Aをしないリスクもあるため、見込みはあるのか、また仮に換金できなくても大丈夫なのか、自分の望む条件と照らし合わせて考える必要があります。
またスタートアップ企業の場合、大手企業と比較して福利厚生制度が整っていないこともあります。年収が高くても、例えば住宅手当や保養施設の利用がないなど、大手と比較した際のトレードオフがあるかもしれないので、詳細な要件はチェックするようにしましょう。
また、交渉の場では「給与だけ」でなく、「どの役割でどの成果を出せば昇給できるのか」をすり合わせておくことで、入社後のギャップを防げます。
まとめ
スタートアップは比較的年収が高く、業種・職種・フェーズ次第で、大手より高年収も十分可能です。
ただし、固定年収だけでなくストックオプションや昇給条件を含めて、総報酬で比較する視点が不可欠です。
ハイクラス人材だからこそ、リスクとリターンを見極めながらキャリアの成長に繋がる選択をすることが重要です。
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